子供が前歯をぶつけました。どのように処置をしたら良いでしょうか?
2014.03.12
小さいお子さんが、前歯をぶつけて、ぶつけた歯が飛び出たとか、今までのように咬むことができないで痛がるとか、歯ぐきから血が出たということで、お母様が心配して電話をして来られることがあります。
今回は、その対処方法についてご紹介します。
【1】歯が、飛び出して抜けてしまった場合は、歯を乾燥させないように、牛乳の中に入れて運んでください。
牛乳は生理食塩水のかわりになります。
歯の根の部分(血が付いている方)にはさわらないでください。歯の根の部分には歯根膜という大事な組織があり、これを傷つけてしまうと歯がうまく根付かなくなってしまうことがあります。
牛乳がない場合は、歯を口の中に入れて保存します。飲み込まないように注意が必要です。歯を唇と歯ぐきの間に入れておくと飲み込む心配がありません。
歯に砂などが付いてしまった場合、ごしごしこすると、この歯根膜がはがれてしまい、予後が悪くなります。
また、水道水で長時間洗うと、歯の根の周りにぬるぬるした膜(歯根膜)が死んでしまいます。水道水で洗うのはせいぜい30秒程度です。できれば、抜けてから30分以内に処置をすることが理想です。時間がたてばたつほど成功率が低くなります。
【2】歯が、抜けてはないけれど少し位置が変わった場合、お子さんは今までのようにかみ合わせることができませんが、あわてず、大丈夫よとお子さんを励ましながら連れてきてください。
【3】歯の位置が変わるほどではないけれど、歯ぐきから出血している場合も、できるだけ早めに歯科を受診しましょう。
1~3のどの場合も、歯を元の場所にできるだけ早く戻し、固定して安静にすることが第一です。
上の写真は、幼稚園のお子さんですが、前歯をぶつけてこられました。かみ合わせることができず、歯ぐきから出血していましたが、できるだけ歯を基の位置に戻し、歯の表面に細い針金を止め、かみ合わせを調整することで安静化を図り、1か月経過したところです。
落ち着いた時点で、針金を外し、経過観察を行います。ぶつかったことで、後になって歯の神経が死んでしまう事もあります。その時には、歯の神経の処置を行います。