【往診・訪問診療 7】 訪問歯科 Sさんの場合
2015.03.30
川西歯科医院 歯科衛生士の定廣花菜子です。今回は往診させていただいているSさんについてお話します。
Sさんは重度の認知症で、車いすに座っても、ずるずる腰が前に滑るような状態でした。医院への来院ができない状態でした。ご主人が、「(総入れ歯)入れ歯を入れて食事ができるようになってほしい」と強く希望され、グループホームへお伺いしました。
グループホームへ入所される前に病院に入院されていましたが、入院する前までは入れ歯を入れて普通の食事をされていたそうです。しかし、入院中での生活により入れ歯を入れても外すようになり、普通の食事をすることができなくなってしまったそうです。
初めてお会いしたときのSさんは、意思疎通が難しく、お口の中を診させていただく事もできない状態でした。
最初に、固まっているお口のまわりの筋肉をほぐし、入れ歯を入れられる状態にするため舌や頬を伸ばしたりマッサージを行いました。スポンジブラシ、保湿ジェル、布の手袋を使って行いました。
マッサージを行い入れ歯を入れる環境が整ってから、入れ歯の裏打ちを行いました。最初はすぐ外されていましたが、毎日入れるようにしていると、入れ歯を入れた状態を保てるようになりました。そして入れ歯を入れて食事ができるようになりました。これは往診を初めて約一か月後の状態です。
今は自分で食事ができるようになるのを目標に、スプーンを持って食べる練習や、バナナなどを持って食べる練習を行っています。家族や本人の希望や目標を大切にし、施設のスタッフやケアマネージャーさんたちと連携を取りながら、口腔ケアや口腔リハビリをさせていただいています。
ご相談がある方は是非声をかけて下さい。